巨大流通業 JR(ジャパン リテール)

少し古いですが、日経ビジネス11月10日号の特集。
躍進を続けるJR各社の流通業について特集した記事。
まず、JR東日本のルミネの話。テナントとの厳しくも親切な関係には、昔国鉄だったという面影は感じられない。さらに、品川車両基地とか、千葉駅開発とか、新宿駅新南口開発ビルとか、お前らもうええかげんにせぇというほどの計画ラッシュ。恐ろしい会社です。

続いて百貨店とのからみ。ジェイアール京都伊勢丹ジェイアール名古屋タカシマヤの繁栄はとっくに知っていたけど、京都伊勢丹の開業にあたって、JR西日本が京都行きの列車を増やす、というダイヤ改正を行っていたのは初めて知った。鉄道と百貨店のタッグ、強いなあ。大阪駅伊勢丹が開業したら、学研都市線から大阪駅への直通とか、そういった施策も打ちかねん。

ついで、全くJR各社の間でからみがないというお話。鉄道事業ですら怪しい*1のだから、流通でもないのは当然だとは思うけど。まあ、今までは流通業に積極的に関与してこなかったJR東海が新横浜駅駅ビルをやっちゃったんで、東と組むことになったら東京や品川は恐ろしいことになるとは思うけど。


全体的な感想として、JRの流通業はここまで来たかという感じ。もう流通業界の主人公といっても過言ではないでしょう。
ただ、社内的にどうかという点にはまだ疑問が。流通最先鋒のJR東日本は2017年度までに非鉄道事業の売上を現在の3割から4割まで伸ばすと計画しているみたいだけど、計画されているものが全部実現するんだったら、4割なんて普通にクリアできて、鉄道事業を逆転してもおかしくないんじゃない? 「本業」である鉄道事業に対する遠慮が伺えます。雇用人員では圧倒的、労働組合は最強でかつ最凶という鉄道事業が「ジャパン リテール東日本の鉄道部門」になるとは考えにくい。社内抗争とか起こさず、やっていけるのかな?

あと、最後に、この記事全体を通じて、本州3社の話ばかりだった件について。3島会社の話なんてJR九州博多駅ビルとJR北海道の札幌駅ビルの話が少し出てきたぐらい。JR四国は完全にシカト。大都市を抱えている本州3社だけが盛り上がってますます会社間格差が増大するというのは避けてほしい。
JRは沖縄県以外の全都道府県に路線を持ち、都市と地方の双方にネットワークを張りめぐらしているんだから、日本の今というのを最も敏感に感じられる会社のはず。21世紀の日本のグランドデザイン、ビジョンを描くという気持ちでやってほしい、などと思うのは僕だけでしょうか。

*1:辛うじて総研とシステムが繋いでいるような状態