安政五年の大脱走(★6.5点)

安政五年の大脱走

安政五年の大脱走

「パパとムスメの七日間」でおなじみの五十嵐貴久氏の昔の作品。
この人の作品はあと「1985年の奇跡」「2005年のロケットボーイズ」とか読んだことがあるけど、現代が舞台の作品が多い印象。でも、これは安政五年というタイトルの通り、江戸時代の話。

テイストは「1985年の奇跡」といった五十嵐貴久的な青春モノのを継承しているんだけど、これが歴史小説とあまり融合しない。かなりストーリーが破天荒。井伊直弼が津和野藩の姫を側室に迎えたいからといって津和野藩士と一緒に険しい山に幽閉するなんて。いくら当時の井伊直弼の権力をもってしても不可能だろうし、ばかばかしすぎる。
そんな風に幽閉された津和野藩士が姫と脱走しようと企てる話なのだが、どうもわくわくしない。やはり歴史小説はある程度史実をなぞるような形で書いてくれないと楽しめないようです、僕は。

面白いのは亀井美雪姫。こんな理知的な姫がいたらと思った。そういえば来年の大河ドラマは幕末が舞台の「篤姫」ですね。和宮の役が堀北真希というのが何気にすごい。堀北と宮崎あおいの共演なんてあったか?