きみの友だち

読んでいてジーンときました。電車の中で読んでいたのに泣きそうになった。

恵美ちゃんのクールながらも温かい言葉が、個性を包み込んでくれて、世の中にはいろんな人がいて、たくさんの個性がある、それがいいのかなと思わされました。恵美ちゃんはしっかり自分を持っている人なんだなあ。

恵美ちゃんを取り巻くいろいろな「きみ」が登場するけど、一番のお気に入りは「イタ系」の佐藤くんの話。スペックが低いのに先輩風を吹かすガラの悪い先輩。一回もバレンタインデーにチョコレートをもらったことがないというのもさらにイタい。この話で佐藤君がいいことをする場面って全くといっていいほどないんだけど、僅かながらのよさをすくいあげる恵美ちゃんに、自分らしさを持つことって大切なんだなあと考えさせられました。

あと、「八方美人」の堀田ちゃんの話も好き。男なんで女子の人間関係のことはよくわからないけど、重松さんは現状をよく描き出しているなと思った。


就職活動を経験すると自分らしさって何なのかということをよく考えます。自分のやりたいことは何なのか、自分のスペックは、自分の好きなことは何かとか。それに優劣がないということはないのは事実。体育会系はやっぱり高く評価されるし、八方美人に近いような人も高く評価される。
ただ、そういった人たちをうらやましがったりする前に、自分のことをもっと考えてみてもいいんじゃないかな。恵美ちゃんみたいな人がどこかで見てくれていて「そういうのもいいんじゃないの」と言ってもらえるように。