最近封切られた映画の原作:その2

アキハバラ@DEEP (文春文庫)

アキハバラ@DEEP (文春文庫)

ページ、タイコ、ボックスという3人を中心にアキバを舞台に進められる。ページは吃音、タイコは謎のフリーズ、ボックスは極度の潔癖症と、いずれも美点とはいえない個性を持っています。
こんな様をみて、以前読んだ村上龍の「半島を出よ」を少し思い出したが、あれはもっとえげつない。あれに出てくるアウトロー(こんな表現ではよくないと思うが)たちと違い、3人には共感できるのです。一番ページがいいですね。ディスプレイに言葉を打ち出して、仲間たちを動かす様には本当に説得力がありました。

デジキャピという巨大IT企業から、自分たちで創出したAI型サーチエンジン「クルーク」を取り返そうと戦う様は、僕が判官びいきだからかしびれるものがあった。小さいものの価値を認めるというのは他の石田衣良作品*1でも見たことあるけど、こういうの好きです。

個人的にはもっとダルマさんが活躍してほしかったかな。まあ、IT技術がないから厳しい話なんだが。クルークという名前を考案してうまいこと帳尻合わせた感が... 映画版ではまったく登場しないらしい。

アキラはドラマ版が小阪由佳、映画版は山田優だけど、絶対に山田優のほうがイメージに合致すると思う。

*1:下北サンデースとか池袋ウエストゲートパークのいくつかの作品