最近封切られた映画の原作:その1

たぶんその2までしかない。「夜のピクニック」とかも読みたいが... 図書館ではさすがに大人気。

出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

人間魚雷「回天」を取り上げた作品。
死を運命付けられた中、死と生の間をさまよいながら生きるさまはぐっと来ました。ただ、僕は死が運命付けられた環境に置かれたことはないし、死と生ということを真剣に考えたこともない。だから、ぐっと来るという漠然とした言葉でしか説明できない。とても、僕がそのような状況に置かれたらどうなるかなんてことは想像できない。しかし、やはり心が揺さぶられ、とりあえず夢だけは捨てないで生きておこうと思った。

大学生が多く出てくるということは、同じ学生である僕にとって考えさせられるものが多かった。そして、「俺な、学生って身分が、なんだか重たくなっちまったんだ」という言葉には激しく考えさせられた。徴兵猶予がある大学生でありながら、志願兵になることを思ったときに出た言葉です。今と違って大学生=エリートだった時代、それでも戦う同年代の人間に対して引け目を感じてしまうというのはつらい。今、働いている友人達に対して引け目を感じることがときにある僕にはガツンときた。がんばるしかないよなぁ

並木と美奈子さんのエピソードはほほえましい。並木が手紙に美奈子さんのポートレートを同封してくれと頼んだというのには思わず笑ってしまった。そして、最後の並木からの手紙には涙しましたね。

「魔球」は並木の夢を象徴するものだけど、なんかどうも物語にしっくり馴染まない気がしてならない。これがちょっと浮いていたのが残念。

映画「出口のない海」の主題歌。本を読む前から、作品の世界観をよく表しているなあと思っていた(謎) そして、読んでみて、この曲以外が主題歌になるわけないだろと思った。

いつの日かその胸に 戻ってゆけると
信じれば 今日も夕凪が美しい

こんなにきれいな気持ちがあるのだろうかと思わずにはいられない。

この曲のPVには映画で美奈子役を演じる上野樹里が出ているんだけど、一瞬息を呑むほどの美しさを見せてくれます。水族館の風景もとにかく美しくて、素晴らしいものになってます。YouTubeに...