うちからすぐの高校出てるんですって

クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ

現在公開中の「出口のない海」、以前映画化された「半落ち」などで知られる横山秀夫氏の作品。

北関東新聞の悠木和雅が主人公。あの日航ジャンボ墜落事故をめぐる社内の動きと、悠木の心の動きは読んでいて吸い込まれました。あと、メディアについても迫ることができました。さすが社会部記者経験者という感じに、大部屋でのやりとりがリアルに伝わってきたというのはもちろんですが、メディアにとっては重い命と軽い命があるというのは、建前の裏にある本音に迫ったフレーズでした。ジャーナリストは日々、全ての命は平等だという意識と、賞品となる報道においてはそうではないという意識の間で苦しんでいるんでしょう。ジャーナリストに限らず、誰もがいろいろなものの板ばさみになって苦しんでいるはず。

半落ち」もそうだと思いますが、横山氏は建前や処世術に隠された人間のピュアで青臭いもの、たとえば正義感とか愛情とかそういうものを描き出そうとしています。それが読んでいて共感できるところです。まあ、美談に仕立て上げようとしすぎているという批判もあるようですが...