ピーチライナー

愛知・小牧の桃花台線、あす廃止(中日新聞)

まじめな話です。

明日、愛知県小牧市を走る新交通システム桃花台線」(ピーチライナー)が廃止になります。

手元にこういう本(新・都市計画総論)があるのですが、それに新交通システムについての説明があります。

中量軌道システム
一般的には新交通システムといわれる。これは、従来の鉄道技術と自動車技術に、コンピューター制御技術を加え、専用軌道の上を専用の車両が自動的に走行する軌道輸送システムである。
道路の上部空間を利用できる点ではモノレールと同様であるが、輸送力ではモノレールよりやや小さい。建設費はモノレールと同じぐらいであるが、無人運転が可能であることから運営費を小さくできる点で有利である。全国各地で中規模の需要を有する地域に有効な交通機関としてその導入が期待されており、現在すでに8路線が営業中である。

赤くした部分が切ないですね。確かに鉄道より建設費が小さく、無人運転ができるので運営費を小さくできるのですが、それでもガイドウェイバスやLRTよりは建設費はかかりますし、高架軌道を持つので維持費もけっこうかかるのではないかと思います。

それと、wikipediaの桃花台ニュータウンの項目を読めば分かりますが、当初の計画人口の半分ぐらいにしかならなかったようです。交通計画にあたっては、将来の社会的環境の変動を正確に予想することが必要です。これは難しいことなのですが、新交通システムのようにいくら鉄道よりは安いとはいっても、莫大な金額と形になった施設を必要とするものでは、綿密なシミュレーションをして、建設の可否を判断すべきでしょう。こういう例としては、室蘭市白鳥大橋wikipedia)もそうですね。

あと、これは完全な個人的な推測ですが、車王国の中京圏だったことが災いしたのかもしれません。中京圏では名鉄岐阜市内線に代表されるよう、たくさんの路線を廃止しました。岐阜市内線路面電車です。近年、路面電車が注目される中で廃止になりました。これは岐阜市の交通政策があまりに車優先で路面電車軽視だったことが原因だったと思われます。軌道敷内の車両通行を認めていたなど。
ちなみに、新交通システムの中では千葉県の山万のほうがピーチライナーより利用者数は少ないらしいです。3セクのピーチライナーと自社開発ニュータウンの中を走る山万ではそもそもの状況が違いますが、中京圏ということがつらかったのかなという推測もできてしまいました。
最近中京圏ではあおなみ線リニモが開通しましたが、15年後に廃止になっていたとかにならなければいいなと思います。

近年、マイカー以外の交通機関に注目が集まる中、こうして廃止になっていくものがあるというのはすごく残念ですね...