鴨川ホルモー(★8点)

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

第137回直木賞候補作にも自身の作品が挙げられた万城目学(まきめまなぶ)氏の作品。

タイトルからして意味がわからないですが、内容もかなりぶっとんでます。しかし、このようなぶっとんだ雰囲気をも許容する力が京都にはあるということでしょう。

僕はこの作品を読んでいる間、京大青竜会に入っていたらどういう学生生活になるんだろうと想像していました。就職活動でサークルを聞かれたときまともに答えるのか。ホルモーをやっていたこととかどう面接官に説明するのか。そう考えたら恐ろしいですね。

ただ、この作品はけしてそんなオカルトな話に終始しているわけではなく、学生生活にある友情や恋愛といったものもしっかりと描かれていて、それに共感できる。
第17条ホルモーの中で主人公の安倍(なんと総合人間学部生!)が自分が何も信じていないことを悟り、自分に力を貸してくれるメンバーのために勝ちたいと思うところはぐっとくる。面白おかしくオカルトチックに進められる作品だけど、真面目なところでは読者のこころをしっかりつかんでくれます。そして、僕は自分が何も信じていないことに気づかされたのでした。
あと、楠木ふみ(理学部生)と安倍の関係がコミカルでかわいらしい。なんとも京大らしいなと思った。

面白い作品なのですが、いかんせん、京都、特に京大に親しみを感じる人でないと読み進めるのがつらいのではないかと思うところがあるんで、少し点数を低めにつけました。地名とか、イカキョーとかの京大文化のところが特に。森見登美彦氏の「太陽の塔」は京都になじみのない人でも京都のファンタジックな世界に入れただろうと思いますが。ただ、僕自身が京都や京大に馴染みのある人なんで、一般の人がどう感じるかはよくわからないんですがね(をぃ)