中田英寿とも親交の深い村上龍氏

半島を出よ (上)

半島を出よ (上)

村上龍氏の「半島を出よ」を読んだ。

簡単に言うと、北朝鮮の高麗反乱軍が福岡を占拠し、それをアウトロー(こういう言葉でまとめられるもんじゃないが)が殲滅するという話、なんだけど、こんな簡単にまとめられるようなもんじゃない

ついこの間もDPRKからミサイルが撃ちだされたりと、その脅威は確かに存在しています。そのため、この小説の設定はフィクションであるにもかかわらず、めちゃくちゃリアリティを感じる作品であります。
日本が急激に衰退しているのですが、これってすごくありえる話ですよね? 今の日本の繁栄は経済や科学技術というものの上に成り立っているのであって、そういうのって形あるステイブルなものじゃないし。
さらに北朝鮮が福岡を侵略するなんてのも十二分に考えられる。

高麗反乱軍を殲滅するアウトローの持つバックグラウンドも、今の日本が生み出しているネガティブなものを感じます。

下巻の巻末には大量の参考文献が示されているんだけど、とにかく高麗反乱軍の人々に関する描写や、軍事的な事象は詳しい。読んでいてものすごく怖かった。

主題とは外れるとは思うけど、村上龍の出身地北九州への愛を感じる。北朝鮮が福岡を侵略するというアイデアは、アーケード街を米兵が闊歩する佐世保で生まれた彼らしいなと。朝日や読売の記者を愚鈍に描き、地元九州の西日本新聞の横川をきれる記者と描くのもそんな感じ。そして、高麗反乱軍が殲滅されたあとの九州は日本のほかの地域よりも発展するのです。

面白い作品だったけど、リアリティありすぎなんで、当分こういう作品は読みたくない^^ 恩田陸でも読もう。