1リットルの涙の感想ではない

医療は難しいと思う。

医学は「理系」の分野である。実際、入試で理系数学や理科が必要だ。しかし、これは自然科学ではない。

社会や人間を好きな私はわけのわからない理由で化学という自然科学をやっている。
自然科学というのは人間の理性によって作り出されたもので、人が作り出した体系によって支えられている。人間が作り出した、人間や社会から離されたもの、それが自然科学である。*1
それゆえ、自然科学の研究というのは、人間がいようがいまいが、人間が滅びようが社会が転覆しようが変わらないものを求めるというものだ。

人間というのはやっかいなものである。人ごとに考え方が違う。さらに、時や場所によって同じ人でも思うことが変わる。人間というのは多数の変数を抱えて生きている。そして、そんな人間がたくさん集まって社会というものは構成されている。
そのため、社会は解析的に解けない。数値的に解くこともスパコンを使っても無理だろう。

よく社会科学や人文科学*2には体系がない、あんなものは学問ではないという批判を聞くが、これは社会や人間を研究題材にしている以上どうしょうもないことだ。
人間や社会をデジタルにモデル化することなどできない。そんなに人間や社会というのはシンプルにはできていない。


というわけで、医療は難しい。医療技術を進歩させるのは自然科学によって達成できるが、臨床で患者やその関係者と関わることは体系や理論でどうかなるというものではない。

患者の人だけじゃなくて、医者の人もつらいんだろうな。

*1:なんか矛盾しているような気もするが

*2:いわゆる「文系」